投資信託の選び方:手数料(信託報酬)が安いものを選ぶ
投資信託を選ぶ上で、手数料、特に信託報酬は長期的なリターンに大きく影響する重要な要素です。信託報酬は、投資信託を保有している間、毎日、基準価額から差し引かれるコストです。このコストが低いほど、投資家が最終的に受け取るリターンは高くなります。
信託報酬とは何か
信託報酬は、投資信託の設定、運用、販売にかかる費用であり、投資家が信託銀行、運用会社、販売会社に支払う手数料です。具体的には、以下のような費用が含まれます。
- 信託監督人報酬:信託財産が適切に管理・運用されているかを監督する信託監督人に支払われる報酬
- 運用管理報酬(信託財産留保額):投資信託の運用を行う運用会社に支払われる報酬。これが信託報酬の大部分を占めます。
- 販売手数料:投資信託の購入時に販売会社に支払われる手数料。これは購入時手数料と呼ばれ、信託報酬とは別のものです。最近では、購入時手数料が無料の投資信託(ノーロードファンド)も増えています。
信託報酬は、年率で表示され、例えば「年率0.1%」といった形で示されます。この数字が低いほど、運用コストが低いと判断できます。
信託報酬がリターンに与える影響
一見、わずかな差に見える信託報酬の違いが、長期運用においては複利効果によって無視できないほどの差を生み出します。例えば、年率5%で運用を目指す投資信託でも、信託報酬が年率0.1%と1.0%では、10年後、20年後、30年後といった期間で、投資家が手にする金額に大きな差が生じます。
具体例を見てみましょう。100万円を投資し、年率5%で運用できたと仮定します。
- 信託報酬年率0.1%の場合:10年後には約163万円、20年後には約265万円、30年後には約432万円になります。
- 信託報酬年率1.0%の場合:10年後には約150万円、20年後には約224万円、30年後には約329万円になります。
この例では、信託報酬が1.0%高いだけで、30年後には約100万円もの差が出てしまいます。これは、毎年のリターンから信託報酬が差し引かれ、その分だけ元本が減少し、次の年の複利計算の対象となる金額が小さくなるためです。
低コストな投資信託の選び方
信託報酬が安い投資信託を選ぶには、以下の点に注意しましょう。
インデックスファンドを検討する
インデックスファンドは、特定の株価指数(日経平均株価やS&P500など)に連動することを目指す投資信託です。指数に連動するため、運用方針が明確で、アクティブファンド(指数を上回るリターンを目指す投資信託)に比べて運用コストを低く抑えることができます。一般的に、インデックスファンドの信託報酬はアクティブファンドよりも大幅に安くなっています。
信託報酬の低いインデックスファンドを探す
同じ指数に連動するインデックスファンドであっても、信託報酬は異なります。複数のファンドを比較し、より信託報酬の低いものを選びましょう。
- 低コストインデックスファンドの代表例:eMAXIS Slimシリーズ、楽天・全米株式インデックス・ファンド、SBI・V・S&P500インデックス・ファンドなど、多くの低コストファンドが市場に投入されています。
信託報酬の推移を確認する
一度低コストのファンドを選んだからといって安心せず、定期的に信託報酬の推移を確認することも重要です。運用会社の経営方針や市場環境の変化によって、信託報酬が改定される可能性があります。
販売手数料(購入時手数料)も考慮する
信託報酬だけでなく、購入時にかかる販売手数料も確認しましょう。最近では、多くの投資信託で販売手数料が無料(ノーロード)となっていますが、念のため確認することをおすすめします。購入手数料がかかる場合、その分だけ投資元本が減ってしまいます。
信託財産留保額(換金時手数料)も確認する
信託財産留保額は、投資信託を解約する際に信託財産から差し引かれる費用です。これもファンドによって異なりますので、確認しておきましょう。ただし、信託財産留保額が設定されていないファンドも多くあります。
信託報酬以外に考慮すべき点
信託報酬が安いことは非常に重要ですが、それだけで投資信託を決めるのは早計です。以下の点も考慮して、ご自身の投資目的に合ったファンドを選びましょう。
投資対象
どのような資産(株式、債券、不動産など)に投資するのか、地域(日本、先進国、新興国など)はどこなのかを確認します。ご自身の許容できるリスクや、期待するリターンに基づいて選びましょう。
運用方針・純資産総額
ファンドの運用方針が明確か、また、純資産総額が十分にあるかどうかも確認しましょう。純資産総額が小さいと、運用が停止されたり、繰り上げ償還されたりするリスクが高まる可能性があります。
過去の運用実績(参考程度に)
過去の運用実績は、将来の成果を保証するものではありませんが、ファンドの運用能力を判断する上での参考にはなります。ただし、過度に過去の成績に固執せず、あくまで参考として捉えましょう。
ご自身の投資目標とリスク許容度
最終的に、どのような目的で、どれだけのリスクを取れるのかを明確にすることが最も重要です。低コストなファンドであっても、ご自身の目標に合わないものであれば、投資の意味がありません。
まとめ
投資信託の手数料、特に信託報酬は、長期的な投資成果に大きな影響を与えます。信託報酬が低いファンドを選ぶことで、同じ運用成果でも手元に残る金額を増やすことができます。
- 低コストのインデックスファンドを中心に検討する
- 複数のファンドを比較し、信託報酬の低いものを選ぶ
- 販売手数料や信託財産留保額も確認する
- 信託報酬だけでなく、投資対象や運用方針、ご自身の投資目標なども総合的に判断する
これらの点を踏まえて、賢く投資信託を選び、長期的な資産形成を目指しましょう。
