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お札の肖像画が変わる理由。新紙幣の秘密を深掘り

お金の問題:お札の肖像画が変わる理由

 日本のお札、いわゆる紙幣は、定期的にデザインが変更されます。その中でも特に注目されるのが、お札の「肖像画」です。なぜ、お札の顔ぶれは変わるのでしょうか。そして、新紙幣にはどのような秘密が隠されているのでしょうか。この疑問に深く迫ります。

なぜ肖像画は変わるのか?

 お札の肖像画が変わる主な理由は、偽造防止技術の進化と、時代に合わせた国民的・国際的な象徴の更新という二つの側面にあります。

偽造防止技術の進化

 紙幣は、その価値ゆえに常に偽造の標的となります。技術の進歩は偽造技術も進化させますが、それ以上に、中央銀行はより高度な偽造防止技術を紙幣に搭載することで、偽造を困難にしています。肖像画のデザイン変更は、こうした最新の偽造防止技術を導入する絶好の機会となります。

 例えば、現在使われている紙幣にも、すかし、ホログラム、潜像模様、マイクロ文字、パールインキ、深凹版印刷など、様々な偽造防止技術が施されています。しかし、これらの技術も年月が経つにつれて、偽造技術に追いつかれる、あるいはより高度な技術が登場するため、定期的な更新が必要となります。新紙幣では、より精巧なすかし、角度によって色や模様が変わるホログラム、特殊なインキを使用した見えない文字など、最新の技術が惜しみなく投入されます。肖像画の細部や背景のデザインも、これらの技術と連動して、より複雑で識別しやすいものへと進化します。

時代に合わせた象徴の更新

 紙幣に描かれる肖像画は、その国の歴史や文化、あるいは偉人を象徴するものです。時代が移り変わる中で、社会が求める価値観や、国民が尊敬し、親しみを感じる人物も変化していきます。また、国際社会における日本のイメージや、日本の顔としてふさわしい人物像も考慮されます。

 過去のお札の肖像画を振り返ると、例えば夏目漱石や伊藤博文といった文化人や政治家が採用されてきました。しかし、近年では、より新しい世代や、より幅広い分野で功績を残した人物が選ばれる傾向が見られます。これは、現代社会における多様な価値観を反映し、より多くの国民が共感できる象徴を選ぶという意図が込められていると考えられます。また、国際的な視点から、日本を代表する人物として、世界に通用する知名度や功績を持つ人物が選ばれることもあります。

新紙幣の秘密を深掘り

 2024年度上半期に発行が予定されている新しい紙幣には、これまで以上に先進的な技術と、時代を映すデザインが盛り込まれています。

肖像画の選定プロセス

 新紙幣の肖像画がどのように選ばれるのか、そのプロセスは一般にはあまり知られていません。しかし、そこには慎重かつ多角的な検討がなされています。まず、候補となる人物がリストアップされ、その人物の功績、国民からの認知度、国際的な評価などが総合的に評価されます。また、偽造防止の観点から、肖像画の細部や表現のしやすさも考慮されると言われています。最終的には、政府や日本銀行の意思決定を経て、国民に広く親しまれる肖像画が決定されます。

 新しい紙幣の肖像画には、渋沢栄一(一万円札)、津田梅子(五千円札)、北里柴三郎(千円札)が選ばれました。渋沢栄一は「近代日本の父」と称される実業家、津田梅子は女子教育の先駆者、北里柴三郎は「近代日本医学の父」と呼ばれる細菌学者であり、いずれも我が国の発展に大きく貢献した人物です。これらの人物選定には、多様な分野での功績を称えるという現代的な視点が反映されていると言えるでしょう。

最新の偽造防止技術

 新紙幣に搭載される偽造防止技術は、さらに高度化しています。特に注目されているのは、3Dホログラムの採用です。これは、見る角度によって肖像画の向きが変わるという、これまでになかった技術です。これにより、偽造は極めて困難になると予想されます。

 また、インクの進化も進んでいます。特殊なインキを使用することで、肉眼では見えない文字や模様が、特定の光を当てると浮かび上がるようになります。さらに、識別技術の向上も図られており、高齢者や視覚障害者の方々にも、お札の種類を容易に識別できるような工夫が凝らされています。例えば、触覚で識別できるマークや、お札のサイズの違いなどが、より分かりやすくなっていると考えられます。

デザインの細部へのこだわり

 肖像画だけでなく、紙幣全体のデザインにも細部へのこだわりが見られます。背景に描かれる模様や、文字のフォント、色使いなども、単なる装飾ではなく、偽造防止や識別性、そして美しさを追求した結果です。

 新しい紙幣では、肖像画の人物が活躍した時代背景や、その功績に関連するモチーフが、背景デザインとして取り入れられることもあります。これにより、紙幣は単なる通貨としてだけでなく、日本の歴史や文化を伝える媒体としての役割も担うことになります。例えば、渋沢栄一の一万円札には、彼が設立に関わった東京駅丸の内駅舎や、近代的なビル群が描かれる予定です。津田梅子の五千円札には、彼女が設立した女子英学塾(現:津田塾大学)の建物などが描かれる可能性があります。北里柴三郎の千円札には、彼が研究した破傷風の抗体などがモチーフになるかもしれません。

まとめ

 お札の肖像画が変わる理由は、単にデザインを変えるという表面的なことではなく、国家としての安全保障、技術革新への対応、そして社会の変化への適応という、多岐にわたる要素が複雑に絡み合っています。新紙幣は、これらの要素を最新の技術とデザインで具現化した、まさに「国の顔」と言えるでしょう。新しい紙幣に込められた技術や思想を理解することは、私たちが日常的に使用している「お金」という存在を、より深く理解することに繋がります。